『恋の門』

echo792004-10-18

演劇でくすぶるようになって「チェックしよう」ていう気になった、ていうかずっとハマってる劇団が大人計画の僕としてはこの映画は外せない。更に羽生生純さんの原作がとてつもなく面白くて5巻全部持っていながら最近出たハンディ版に手を伸ばそうとしてる僕としてもこの映画は外せない。純愛ブームの今だからこそ『アンチ純愛』としても外せない。そういう体で見に行きました。
僕が映画館に行くケースは現時点までの人生で10回にも満たなくて、それは圧倒的な人の多さと画面のデカさが苦手だから。人気映画は大抵満員で、見ているうちに僕の手は痺れ、更に足が痺れ、隣に女のひとでも座っていようものなら鳩尾までもが痛くなり、「それでも見なくては」と蹲りながらもスクリーンをチラ見しなくてはならないという屈辱的な鑑賞(もはや鑑賞と呼べるかすら怪しい)を強いられるゆえにDVDやVHSを借りては自宅でのんびり見るというのが僕の常套なのだけど、今回の博多の映画館は想像以上にスクリーンが小さくて、観客数も可愛いもんでした。過去に一番リラックスして見ることが出来た映画『茄子 アンダルシアの夏』に匹敵。
思ったよりも軽いテイスト。原作の打算と純心に裏打ちされたモノローグやかなり救えない展開も、松尾スズキさんの書く舞台戯曲の大質量暗黒ナンセンスな味わいも好きだけど、これはこれで明るくて好き。趣味の決定的な相違やベッドでの失敗などの恋愛風景の痛いエピソードが観てて痛い。松田龍平さんが可愛い。酒井若菜さんが可愛い。松尾さんはやっぱり変。3人がマンガを書くシーンが凄まじくて、気持ちよくて、ここだけでも大画面で観た甲斐がありました。「このシーンこそ松尾さんが描きたかったシーンだ」と勝手に納得しかかりもしました。あと小日向さんがカッコよすぎ。あとキスしすぎ。仕方ないよね。恋だもの。

恋の門 (1) (ビームコミックス)

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