観た

echo792005-07-18

姑獲鳥の夏」。
物語と和と妖怪へのポップで親切で病的な拘りをもつ京極夏彦さんの原作で特撮も撮れる日本映画の隠れ巨匠実相寺昭雄さん監督。
緻密な心理描写、各人物の持つ価値観の明確な表現、演出過多な時代背景や情景描写、それらが何故か嫌味たらしくなくて雅で妖しい京極小説が映画になって、明鏡止水な心持のまま中州大洋に観に行った俺です。
さてこの映画、ネットやらそこかしこでは公開前からの批判の声高く、かく言う俺も心配こそすれそんなに期待はしてなかったのですが、結果満足しました。
この類の映画の感想をいう上でネタバレを避ける術に長けてない俺なので適当に書きます。
原作ファンの俺としては榎さんの活躍が少なかったのは残念でしたし、大人計画ファンとしては松尾スズキさんや荒川良々さんの出番が少なかったのも残念でしたが、これはこれでよしと納得したのは多分監督の撮り方がなによりもエキセントリックだったからだと判断します。
昼間なのにいきなり暗くなったり、ありえない所にありえない照明が当たっていたり、あまりCGに頼らないアナログな手法で画が派手にされてて、そのレトロさが逆に新鮮。音楽やSEに関しても良い意味で古くて、だから全体的にケレン味のある雰囲気が終始続き、「本格的日本映画」という形容の意味を知りました。全くもって目まぐるしい。
話の筋に関しては原作を越えることは無いと思っていたので書くこと無し。というか画ばっかり見てました。京極堂久遠寺医院などのセットが素敵。目眩坂はもっと長い方が良かった。
堤さんの京極堂は原作よりもなんか嫌な奴ぽくて、これは逆に嬉しかった。探偵と和寅の短いやり取りがこっそり面白くて、もっと観たかった。松尾さんの内藤ももっと出て欲しかった。折角の嫌な悪役だったのに。宮迫さんの木場修は全然アリでした。もし次があるなら出番かなり増えるだろうからもっとがんばって下さい。あと敦っちゃんが凄く可愛いかったのでびっくりした。柘榴は出すぎ。
だけど何よりも残念だったのは雨が一切降らなかったこと。
いろいろ不満があるのはそれくらい作品に思い入れがあるちゅうことで、それすら含めてこの映画に満足してるので、俺はなんか、かなり重い病気にかかってると見た。