元気ロケッツの壮大な物語について掘ってみた
先日は大変恥ずかしい妄想で終わってしまいましたが、せっかくなので補遺というか、元気ロケッツのバックボーンたる物語についても書いておきます。
主人公の名は「Lumi(ルミ)」。
2019年9月11日、国際宇宙ステーションにて誕生。
人類史上初の地球外で生まれた女の子として、世界中から祝福されます。
しかし彼女は、ある理由で地球に降りることを許されません。
何もない宇宙で過ごすうちに彼女は、いつしか口伝やホログラフでしか知らない地球に憧れだします。
頬をなでるそよ風、どこまでも続く緑の森、そして真っ青な海と空。
いつかその星に降り立ち、触れたいと夢見ながら17歳を迎えた彼女は、その気持ちを歌にします。
まるで地球に恋をしているかのように。
さあ行こう 飛び立とう
楽園への道を見つけたの
金色に輝く螺旋の道
手をつないで 私たちの未来を探そう
空には天国のような星々
ただ 自分の心を信じればいい
私達の間には境界線なんてない
いつも あなたを感じているわ
どこにいたって
- アーティスト:元気ロケッツ
- 発売日: 2008/07/02
- メディア: CD
まだ見ぬ自然を夢想し、離れた地球と心がつながっていることを只管信じている。
田中ユウスケさんによる楽曲もすべてがキラキラしています。
PVに現れるLumiは、実際の女の子の映像をイラストや2階調に変えたもので、物語を一層美しく彩っていました。
1stシングルがリリースされた2007年当時、インタビューで水口哲也さんは、
「彼女が20歳になる2年後の9.11に地球に降りてくる」と発言しています。
つまり、物語の中では2039年、そして現実では2009年にLumiが地球にやってくる、と。
しかし、2008年のアルバムリリース以降、元気ロケッツはライブ活動に専念、翌年のカウントダウンライブまで只管ライブの1年を送ります。
そして2010年。各AVメーカーが3Dテレビを発表しだした年、元気ロケッツは再び作品を発表し始めます。
5月にソニーのワールドブランド「make.believe」を象徴する壮大な3D映像を公開。
この作品でいち早く3D映像に着手、そしてLumiは初めて明確な実写映像の人物として現れます。
そして、元気ロケッツを語る上で特に重要な物語が、「Child Of Eden」です。
2010年のゲームショーで発表された、シューティングゲーム。昨日のエントリでも書きましたが、水口さんはもともとゲーム屋さんとして、「
その「Rez」の続編として現れたのが「Child Of Eden」で、そのBGMがすべて元気ロケッツであることが発表されたのです。
輝く光の粒子とラインの中敵を打つたびに響くサウンドが、BGMと響きあう心地よさに、むしろ日本より海外のファンが期待を膨らませていました。
そして2011年。
2月23日「Reaching for the stars」発表。
3月19日「Touch me」発表。
追って3つの配信シングルがリリースされ、9月7日に2ndアルバムが発売されます。
GENKI ROCKETS Ⅱ-No border between us-(初回生産限定盤)(DVD付)
- アーティスト:元気ロケッツ
- 発売日: 2011/09/07
- メディア: CD
あなたの世界に飛び込みたい
私を待っていてほしい
あなた以外は考えられない
あなたをいつまでも待っている
未来の夢 そして今日について語り合いたい
いつまでも どこまでも
未来を手に 過去は手放そう
そしてあなたに信じてほしい
あなたにそばにいてほしい
夏のそよ風のように 頬に触れてほしい
空気が共鳴して震えているよう
粒子が私を包み そしてあなたに触れる
触れて そして私を感じてほしい
色々な感覚が全身を通り抜ける
あなたはいつも 新鮮な空気のよう
美しさが あなたを包み そして私が触れる
Touch me / 元気ロケッツ
以前のような青い惑星への憧憬はそのままに、
自分を信じること、未来を変わること、愛するものを求めることについて、強く訴える歌詞に切なさすら覚えます。
ところで、この時Lumiは何歳なのかという疑問があります。
現実時間に添うならば21歳。3年前の予告とは状況が違うことになる。20になっても地球に行けず、まだ地球への憧れを歌っているのだろうか?
その疑問に一つの答えを提示したのが同年10月6日に日本版が発売された「Child Of Eden」でした。
このゲームの舞台は23世紀。Lumiの時代から更に200年後の宇宙でした。
そのストーリにはこうあります。
(前略)
人類史上、初めて地球外で生まれた子の名は、Lumi。
地球に降り立つことを夢見続けるも願いかなわず
彼女の没後、すべての身体データは永久保存され、「Eden」と呼ばれるオープンネットワークにアーカイブされた。
そして、時は進み、23世紀。
21世紀に保存されたLumiのアーカイブからデータを組み上げ、Eden内に彼女の意識を形成するという試みがスタートする。
その名は「Project Lumi」。
(後略)
そう。Lumiは夢を叶えること無く亡くなっているのです。
ではいつ亡くなったのか。
ゲームの中で、死後保存されたという身体データを浄化してゆくと、若い頃のLumiの姿が現れます。
私は飛ぶ
闇に包まれたこの空を
希望と信じる心で世界を照らすの
私は飛ぶ
あなたへと向かって
溢れてくる私の気持ちは全て この愛の庭へ
私はそばにいる
あなたは決して一人じゃない
Flow / 元気ロケッツ
因みに、Lumiのフロントを務める安田レイさん(当時はローズ・レイチェルさんでした)の年齢は当時18歳。
ここから導き出される解釈(妄想)は、
2ndアルバムの時点で彼女は18〜19歳。
地球に降り立つ20歳になる前に、何らかの事故か病によって死んでしまった。という物語です。
ここで思い出されるのは「彼女が地球に降り立てない理由」ですが、
それを示す手がかりを見つけることはできませんでした。
更に妄想を膨らませるならば「Lumiは地球の大気と重力圏で生きることができない病にかかっていて、20歳になれば免疫ができるはずが、予期せぬ悪化によって亡くなってしまった」というもので、これじゃ流石に救われません。
また、2ndアルバム発売時のインタビューでは「彼女には気になる人がいる」という発言もあり、Lumiが地球に憧れるもう一つの理由があったことも示唆されています。
2ndアルバムのremixを除いた最後の曲は「Good night」。
私たちには、明日を信じる心がある
周りにあるあらゆる悩みや痛みを解放しよう
安心して やすらかに眠ろう
Good night / 元気ロケッツ
ずっと行きたかった地球、
誰よりも会いたかった人、
その夢の全てが絶たれ、Lumiは若くして死んでしまったのです。
その後、200年の時を経て、彼女を蘇らせるプロジェクトが「Child Of Eden」のバックボーンとなります。
現時点での最新作「GENKI ROCKETS II -No border between us- Repackage」に収録された曲のタイトルは「Revive」。
こうして西暦22XX年、Lumiは希望の象徴として蘇るのでした。
一方現実の2013年、20歳を迎えた安田レイさんはLumiという虚構から飛び出し、地球上にて歌手デビューを果たします。
安田レイさんのプロデュースは水口さんではなく、元気ロケッツのサウンドプロデュースを行なっていた玉井健二さん。
- アーティスト:安田レイ
- 発売日: 2013/07/03
- メディア: CD
なお「Lumi」を形作るもう一人の女性、宮原永海さんは、1997年から現在に至るまで音楽&声優活動を続けられています。貴重なバイリンガル声優さんでこの方も美人です。
元気ロケッツの物語は決してハッピーエンドではない。
でも、その強い寓話性ゆえに楽曲や映像は美しさを湛え、安田レイさんもそのイメージに引きずられずにデビューできたのでしょう。それはきっと祝福すべきことだと思います。
いつかもし再び「GENKI ROCKETS III」がリリースされるならば、新たな映像・音響技術とともに新たなLumiの物語が生まれるその時を、6年後でもいいから待ってます。
そして。
「あまちゃん」にも、憧れの場所に行けない少女がいます。
足立ユイ。
東京から遠く離れた岩手の村で生まれ、ずっと東京を夢見ていた18歳。
もしかしたら元気ロケッツの選曲は、このことを暗示していたのかもしれない。
父の病や母の家出で一度は諦めた夢だけど、まだチャンスはある。
なぜならばアキも海女を経て、アイドルになれたのだから。まだチャンスはある。陰謀論が燃え上がる。妄想が膨れ上がる。
海女として再び人気を獲得したユイは、今度こそ憧れの東京進出を目指し、アキに相談する。
話を聞いた水口は、GMTへのアンサーソングとして「Heavenly Tokyo」をユイのためにプロデュース、週一の海女カフェライブが始まる。そこに薄いサングラスの男が再び食いつき、今年も「海女〜ソニック2010」が開催される。
性懲りも無く栗原ちゃんと美寿々さんはレディ・ガガをやるも、今度は鈴鹿ひろ美のコネで本物のレディ・ガガ出演、花巻さんのフレディを含めてガガが4人に。
その様子は動画サイトにアップされ、世界的北三陸ブームが到来。
花巻さんはガガ(本物)に気に入られ、アメリカでものまね芸人としてデビュー。
そして水口が作った海女の落ちゲー「UNIDES」が大ヒット、悔しさのあまり太巻はいつものポーズのまま自分の肋骨を締め折る。全治4ヶ月。
やがてユイの出発の日が近づく。泣き崩れる大吉、手ぬぐいを贈る夏、「UNIDES」にハマる勉さん。
喜びに沸き返る北三陸。
しかし(以下割愛)
さっき、この妄想が外れだという証拠記事が出てて、膝から崩折れた。