元気ロケッツが暗示する、「あまちゃん」クライマックス


今日の「あまちゃん」104回のラスト、奈落でのダンスレッスンで元気ロケッツの「Touch me」が流れました。

自宅で見ていた僕は、あまちゃんでまさかの元気ロケッツ!と物凄いテンション上がると同時に、妙な違和感を覚えたのでした。
「なんでここでこの曲?」と。


劇中の挿入曲はほぼクドカン自身による選曲らしいのだけど、
この「Touch me」は多分クドカン選曲してないんじゃないだろうかと思っています。


クドカンが選んだであろう「夏の扉」や「ゴーストバスターズ」などの80年代ポップスは、ドラマの時代感を演出し、懐かしさに加えて面白さを引き立てています。
「東京は夜の七時/ピチカートファイヴ」という、比較的最近の曲もあったけど、それも副駅長が東京をテーマにした歌を延々口ずさむというネタソングでした。
銀河鉄道999」も「君に、胸キュン。」も「レディオ・ガガ」も、すべての歌は脚本に添うように選ばれていて、必ずセリフやお芝居を引き立てる要素になっています。


だけど「Touch me」は言及されません。


ただレッスン用BGMとして流れ、GMTの面々がそれに合せてダンスするだけ。
劇中で誰が選んだとか、その曲に思い入れがあるといったような設定も語られなかった。
それならば「暦の上ではディセンバー」で問題なかったはず。
もっとスタンダードなダンスナンバーでもよかった。


果たして、クドカンが脚本とは関係のない所で「元気ロケッツ」を指定するだろうか。
これまでの選曲とは明らかに違う意図を感じる。


そして、もし監督や他のスタッフが選んだのだとしたら、どうして劇伴でも「暦の上では〜」でもなく、元気ロケッツの「Touch me」を選び、劇中曲に使用したのか。


邪推しました。


まずは元気ロケッツについて。
「西暦2036年の音楽ユニット」として、2007年7月に1stシングル「Heavenly Star」をリリース。

Heavenly Star/Breeze(DVD付)

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このデビューまでの流れが、とっても今風。


2006年9月11日、この曲のPVが詳細を伏せられたままでYouTubeにアップされ、アメリカを中心とした爆発的な口コミによって、僅か数時間で再生回数10万回を突破。
「この音楽の詳細を知りたい!」という問い合わせが殺到し、その熱気の中CDデビュー。

この曲はクラブでガンガン回されたらしく、TVなどでもしばしば耳にするので、聞いたことある人も多いかもしれない。


そのデビューを仕掛けた、プロデューサーの名前が、「水口哲也」さん。
ゲームクリエイターとして多くの製品を世に送り出す傍ら、初の音楽プロデュースとして「元気ロケッツ」プロジェクトを立ち上げた張本人の名前が、水口。
つまり「ミズタク」ならぬ「ミズテツ」。
因みに「テツ」は鉄道及びそのマニアを意味します。


そして、プロジェクトの中でも大事なヴォーカリストは、Lumiという「外宇宙で生まれ、地球を夢見る少女」という設定のもと、当時13才だったモデル、ローズ・レイチェルと声優の宮原永海、二人の声を合成した「架空の歌手」でした。
思い返すに、その謎めいた設定と可愛らしいルックス、そして美しい歌声に、ネットユーザーは心を奪われたのだと思う。
そんな中、ローズ・レイチェルさんは、Lumiの外観も担当しながらカメラの前に立って歌を唄い、「いつかは実名で歌手としてデビューしたい」と夢見ていたそうです。
そして、2013年、20歳になった彼女は本名「安田レイ」として遂にソロデビューを果たします。

因みに、安田レイさんが生まれたのは1993年。
それはアキ役の能年玲奈さんが生まれた年でもあります。


最後に、数ある元気ロケッツの曲の中から選ばれた「Touch me」について。
僕はこの曲が元気ロケッツの中でも一番好きで、伸びやかな歌声や、サビの神々しいコーラスにいつも胸を締め付けられているのですが、じゃあこの曲が元気ロケッツの「代表曲」かというと、そうでもない。
実際にオンエアを見た中でも一握りの、そのジャンルに詳しい視聴者だけが気づく位の知名度で、Twitterのトレンドも割りと穏やか。前述の「Heavenly Star」の方がよっぽど代表曲として相応しいと思います。
更に、ドラマ内時間の2010年3月の時点で「Touch me」はリリースされていないという事実。これが一番不自然な点です。
これまでにも「昭和のタクシーで後部座席シートベルト」というおかしな描写はありましたが、「Heavenly Star」という有名な曲が既にリリースされているのに、敢えて時空を越えてまでこの曲を選んだのは一体何故なのか。
この疑問が、このエントリを書くきっかけになりました。


「Touch me」がCDとしてリリースされたのは2011年の9月ですが、この曲はもっと以前に公開されていました。
CDに先立ち配信限定でリリースされたのが4月27日。
そして、更に1ヶ月前、この曲がCMソングとして初めてメディアに現れたのは、なんと2011年3月19日。
東日本大震災の、僅か8日後だったのです。


元気ロケッツのブレイク】
【メインヴォーカルの夢】
【2011年3月に起こった出来事】
これらの符合には、きっと意味がある。
脚本に絡まないのであれば、それはどのような意味だろうか。


仮説を立ててみました。
すなわち、「この曲は今後の展開を示す予言である」と。


クドカンではない誰かが、ドラマの終盤で何が起こるのかを、視聴者にさり気なく伝えようとしているのではないか。リークしようとしているのではないか。陰謀論が燃え上がる。妄想が膨れ上がる。
そういうわけで、ここから先は「Touch me」に端を発する妄想をお届けする。
元気ロケッツが暗示する、あまちゃんのクライマックス(妄想)。





2010年夏、水口は太巻との対立から、遂に独立を決意。
プロデューサーとして先頭に立ち、GMTを世に売り出す計画を極秘裏に立てる。
如何にしてアメ女を出し抜くか。太巻に悟られずに話題をかっ攫う方法はないだろうか。
ある日、まめぶの分類不可能な味わいがネットからブレイクしたというニュースに、水口は北三陸でのアキ人気を思い出す。
天啓を得た水口は、栗原ちゃんと別れて職場が気まずい足立ストーブを東京に呼びつける。


同年末、某動画サイトに、ある女性アイドルグループのPVがアップされる。
詳細は不明、名前も、人数も、国籍すらわからない。
しかし途轍もなく良い歌と可愛いルックス、そしてひたむきな姿が口コミで話題となり、再生数はあっという間に100万突破、その年の話題を総なめにする。そして動画でしばしば現れる感嘆詞「じぇじぇじぇ!」が大人気に。
土壇場で流行語大賞を奪われ、悔しさに自分の肋骨を締め折る太巻。全治2ヶ月。


年が明け、満を持してのお披露目公演が計画される。
そのライブで初めて、GMTは名前と実体をオーディエンスの前に披露し、念願のシングル発売、華々しくデビューするはずだった。
メンバーも増え、稽古を重ねるGMTに芸能人スキルをみっちり叩き込む春子とひろ美。
巷では「海女ラリーチャンピオンシップ」なる潜水ゲームが大ヒット。でも続けて出た「コハークチャンネル5」はあまり売れず、水口は早々にゲーム開発から手を引く。
一方ユイは北三陸のカリスマ海女アイドルとなり、上京までの秒読みが始まっていた。
泣き崩れる大吉。手ぬぐいを贈る夏。「コハークチャンネル」にハマる勉さん。
祝福と喜びに湧き立つ北三陸


…しかしその日、ライブが開催されることはなかった。
8日前の地震が、アキの大切なものを奪ったのだ。


つづく





みたいな。妄想終わり。
大体、散々路上活動しておいて今更謎のアイドルになれるのかっていう。
太巻と春子の和解の可能性もあるし、ミズタクにPとしての手腕があるのかも微妙。
でもミズタクだって成長してるかもしれない。少なくともGMTは頼りにしてるので応援してます。
そして、必ず描かれるであろう大震災。その緊迫感込でこのドラマは傑作を約束されていると思う。
強いて言うなら勉さんをもっと出して欲しいです。


とにかく、それくらい「Touch me」が好きだというのを、あまちゃんにかこつけて書きなぐりました。読んでいただきありがとうございました。