ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序

この記事を読んでたら、いても立ってもいられず、終業と同時に映画館へ直行してしまいました。
入口の辺りから人が多くて、入るのをもの凄く躊躇ったのですが、観て良かったマジで。
因みに中学生の頃TVシリーズを見てガツンと直撃を受け、人ごみ嫌いなのに映画館で劇場版を見て、ゲームも少し齧って、未だに月一くらいで劇場版DVDを見てるという体たらくの俺です。

この記事の通り、リメイクみたいな、総集編みたいな新作でした。ていうか何なんだアレは。
TVシリーズとほぼ同じ展開、同じ構図、人物の表情もほぼ同じ。
ところがこれが違う。なんでか違う。


まず最初のカット、海の色でドキリとして、電話機の色でまたドキリ。なんか、色だけ違う。
「前と同じですけど、ところどころ違うから」みたいな前置きを告げられたみたいで、知らず知らずの内に「間違い探し」をはじめる俺。
TVシリーズであった重要な描写がなくなってるかと思いきや、設定が微妙に違ってたりしてて、TV版とは別の「裏」がある予感。
んでもって、それぞれのカット、演出がとっても濃い。
ラミエルビームの「ウワアアア」はTV版の数百倍は痛々しいし、第三新東京市稼動シーンの細かいこと細かいこと。
ていうか後半はほぼ新作と言って良い作り。TV版第六話で展開された「ヤシマ作戦」がこんなにもドでかい作戦だったのかと、改めて感動してしまいました。確かにラミエル恐え。
兵器、メカ、街、人物の表現が、いちいち濃くて、かなりTV版より「熱い」印象。


そいで、一番印象に残ったのが、主要メンバーの所作。
シンジは直情型中二になってて、ませたヤな餓鬼だし、理解してもらえない相手へのひねた態度をとったかと思いきや、ちょっとしたメッセージにウルッとしたり、後半ミサトの重要な言葉で立ち上がったりと、とっても分かりやすい。普通に素直で分かりやすい子供。というかシンジの行動に至る動機がきちんと描かれてる(この分かりやすさはコミカルなシーンが省かれてるせいもある)。
ミサトの父親フラグはシンジへの愛情に上手く咬んでるし、ゲンドウの「息子は道具」スタンスもハッキリしてる。登場人物の相関がTV版に比べて明確なので、それらに取り囲まれたシンジに感情移入し易い。
後半「ヤシマ作戦」の「早く!早く!」というシンジの科白が凄く響いてくる。
感情描写がTV版のクールで分かりにくい演出と大きく違ってて、これまた「熱い」。


なので総評としては、まず「熱い」。
そして後半のリニューアルっぷりには仰天できるし、新たに現れた謎には「なぬー」となれます。


最後にネタバレ。
中盤で、シンジを操作するかのようなゲンドウの科白。
「レイを接近させる」
TV版から「仕組まれた子ども」だった彼ら、TV版においてそれは「エヴァに乗ることが仕組まれていた」という意味だったのですが、もしかしたら今回は、感情とかモチベーションまで操られてるのかもしれません。


追記:アルファブロガーの皆さんのレビュー読んだら頷きっぱなしで首が痛いっていうか素敵な文章だらけでしたので紹介します。
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20070902/1188665955
(俺を映画館に走らせた記事。面白さの要点をキッチリ突いていらっしゃいます)
http://movie.maeda-y.com/movie/00955.htm
(非常に同意。確かに一見さんにとっては五月蝿い映画かも)
http://beatarai.blog90.fc2.com/blog-entry-292.html
(ロールで総監督の名前と同時に席を立ったら予告が始まって「やっべ後ろの人の邪魔になる!」て焦りつつもじっくりスクリーンを注視したのは俺です。あとインパクトカレーが中辛なのは個人的に許せない)
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070902/p2
(「どう見てもただのエヴァオタです。本当にありがとうございました。」)
http://d.hatena.ne.jp/emptiness/20070901#p1
(とっても細かい相違点。「マッパでのたまう危ない野郎。」)
http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20070902/p1
(人物のメンタリティの変化がドラマとして良い方向に働いてると言う話。俺が一番気になった点を詳しく書いておられます)


あと書き忘れた話ですが、あの予告は「ケイゾク/映画」のラストで流れた荒唐無稽なガセ映像のようで、これが実際に来年上映されると思うと本当にドキドキした。
あとパンフ売り切れがめちゃくちゃ悔しいという経験を初めてした。んだよこんなに売れるのは予想外だったのかこのや郎。俺もあんなに劇場に人が詰まってるとは思わなんだ。みんな変なひとなんだな〜とか思ってしまった。皆さんごめんなさい。

菊地成孔さんは

数年前にSPANK HAPPYの2ndアルバムについてのインタビューで、ある曲を指して「これのコード進行は自分の好きな曲からのそのまま借り物。ていうか僕の曲は大概そんな感じで、オリジナリティとかはまったくないすよ」みたいな、見も蓋もないコメントしてて、そういえばDCPRGの曲とかもマイルス・デイヴィスをもろリスペクトだし、音楽の技法やメロディとかに関して独自性をまったく主張してないなあ、博物学的だなあ、と思うのだけど、いざ聴いてみると、音楽の根源的な魅力というか一番肝心なところを押さえてる。
つまり楽しい。ノれる。
そのくせ上品で媚びてない。聴いてて凄い気を遣われてる気分になる。でも楽しい。
真面目で芸術家ぶってないのに、アーティスト然としてる。ていうか楽しい。すごいなあ。


と、コレ聴いてて感じました。
DCPRG - MIRROR BALLS


ミュージカル・フロム・カオス

ミュージカル・フロム・カオス

「グランド・フィナーレ」 / 阿部和重


2001年のクリスマスに家族との繋がりを失った「わたし」が、のんびりと待ったり泣いたり焦ったりする自分を眺めている話。あくまでのんびり。腹立たしいまでに。


阿部さんの本は初めてで、内容に関しても一切予備知識無しだったのですが、そのせいか、ものすごく楽しめました。


二体のぬいぐるみから始まり、「わたし」の一人称で進むこのお話、読むにしたがって「わたし」の言葉から客観的な事情がすこしずつ明らかになっていくのだけど、それらが読み手を意識した順番でありながら、そこには読み物特有の説明臭さが無い。この人物は差し迫った必要が無ければそれらの現実を決して正視しないのだろうな、とういう風に思ってしまう。
その上、痛々しい現実を読み手に開示する時は、淡々と客観しているし、その罪深さについては他人の口から以外ほぼ語られない。ひたすら細やかに、鮮やかに描かれるのは「わたし」の眼を通した情景や、愛するものへの想いばかり。


性癖ゆえに罪を犯していながら、「その気持ちはピュアなものだ」とヒロイックな立場を演じることで正当化しつつ、過剰に演じ滑稽さを醸す事でまた客観。
更にそんな自分を責めつつ「己を貶める事で悦に浸る下司なのだ、今のわたしは」とやる。それすら客観した風な物言いで。


自分に嘘を吐かない、言い訳をしない逃避のために、ひたすらメタ視しては問題を無自覚に後回しにする主人公の巧妙さが、嫌悪する以前に見事だと思った。この説得力で自分と付き合っていけば、いろいろ無視しながら実際生きていけそうで。


そんなメタ表現が続く中、物語のラストで「わたし」は「難儀な場所へと辿り着」くのだけど、そこが、ひととして、立っているべき場所であることに気付いていない、というのがまた痛々しい。相棒にまだ頼ってるし。


一人称が綺麗に嵌まってるお話だと思いました。気持ち悪くて。
とても面白かったので、収録されている残りの3篇はなんとかじっくり読んでいきたいと思うけど多分無理。

世にも奇妙な物語を見た

「雰差値教育」
出演:永作博美温水洋一ほか


なんなんだ。
永作博美さんがとんでもなく綺麗だ。


前任先だった「偏差値教育」高校の生徒に「アンタなんか必要ない」と言い放たれた英語教師が次に赴任したのは、独特の教育法「雰差値教育」を掲げる奇妙な高校だった。
社会人予備軍である子どもたちに必要とされているのは何よりも「コミュニケーション能力」。その育成の目安として採用されたのは、生徒の「個性」と、その「調和」「団結」によって生ずる「雰囲気」を評価基準にした単位「雰差値」。
そんな怪しい教育法に戸惑いながらも、もろ学園ドラマなシチュエーションを自ら演出するという手段で「雰差値」を上げ、教師としての価値を得ようとする英語教師。
おっちょこちょいだが生徒思い。疑わしきは罰せず、生徒の自殺を必死で止め、生徒のために号泣し、命の大切さを説くため女生徒の妊娠を引き合いに出す。彼女の奮闘はどんどんエスカレートしていき…


学園モノ、教師モノへのおもしろアンチテーゼ。
基本白の胡散臭い映像。ありえない感じの閑静で無機質な校舎。温水さんがまた胡散臭い。
生徒達の「んなこたない」的な学園ドラマ芝居がなお胡散臭い。


そして英語教師役の永作さんがとんでもない。
なんなんだあのひとは。なんつうか、白くてカッコイイ。
浜崎あゆみさんとかYUKIさん的なあどけない顔がコメディかましつつも艶っぽく野心を放ってる。パッと見8割がた大学卒業したてのルックスなのに、突如ふっと現れる実年齢の擦れた表情や声がとんでもなくエロい(エロい!?)。
ラストシーンでの擦れきった笑みが、ribbonの頃から気になってて堤幸彦さんの「ブラックジャック」でズキューンてなってた俺への見事な止めでした。


しかし久々に「奇妙」を見たけれど、歳の所為か総じてコメディに見えた。
桜井君の「才能玉」と加藤さんの「ヴァーチャルメモリ」は分かりやすい「Y氏」「笑ウ」「ドラ」的コメディだったし、「午前2時のチャイム」は叙述系のどんでん返しはあれど椎名さんの驚いたりヘラヘラ笑う芝居がなんか普通にコメディ。そして「いい話」系の「回想電車」は、小日向文世さんと宮崎美子さんが無理やり演じる20代の回想シーンが圧倒的にコメディだった。
これは今の子どもが見たらちゃんと恐がったり不思議がったりするのだろうか。
恐い云々以前に永作さんばかりに気を取られていたのは間違いなく歳のせいだとはおもうのだけど。

ゴルフをやってみる

ゴルフ【golf】
競技の一つ。十八のホール(穴)を設けた競技場で、クラブ(打球棒)でゴム製の小球をホールに打ち入れ、順次にホールを追って回り、総打数の少ない者を勝ちとする。


広辞苑・第二版補訂版より抜粋)


ゴルフを知らない日本人が↑これを読んだらどんなスポーツを想像するだろうか・・・。
それは良いとして、ゴルフである。
古くから「紳士のスポーツ」と呼ばれ人々に愛されてきた、ゴルフ。
最近では「タイガー・ウッズ」なる新星が現れ、益々その人気は上昇している。
しかし、持ち上げておいてなんだが、一方では「ゴルフ場の建設は環境破壊だ」という声もその人気に比例して増えている。だが、我々の言う「環境」には「人間の住む」という枕詞が必ず隠れている。だから「自然を大切に」と言っても、結局は自分のエゴでしかないのではないだろうか。否定はしないが。


それは良いとして、ゴルフである。
私にとってのゴルフとは、すなわち「マリオ」である。
ガキの頃、よくファミコンの「マリオ・オープンゴルフ」をやったものだ。ただし、今でもやっている。
しかし歳を取ると、ブラウン管上のゴルフでは満足しなくなる。
「そろそろ俺もゴルフを始めよう」
私の脳髄が訴えかけている。「生ゴルフ」と。


ある休日、私は友人のTとM氏を誘い、ゴルフに出掛けた。3人とも初心者だ。車はもちろんTのオデッセイである。私は自動車免許を持たない。クラブは父N氏のものを借りた。ついでにハンディカムも持っていく。
行き先は「○田屋ゴルフセンター」。名前の響きからも分かるように、打ちっぱなしである。いくら生ゴルフがやりたくても、いきなり18ホール回るわけにはいかない。物事には順序というものが必要である。
我々3人は、受け付けで打ちっぱなしの手続きを済ませ、2階の球を打つ場所(名前知らない)に躍り出た。
まずは球を集めなければならない。ゴルフには球が必要不可欠である。
早速Tが買い物カゴの様な容器に球を一杯に詰めて持ってきた。どうやら自動的に球を排出する装置があるらしい。その装置にTは球を流し込んだ。私はウッドの3番を握った。「ゴルフといえばウッド」だと私は信じている。
とりあえず素振りをしてみる。案外重たい。「紳士のスポーツ」というプライドの重みか。
ウォーミングアップを終え、遂に球を打ってみることにする。M氏はカメラをまわしはじめた。
クラブを握る手が汗でにじむ。心拍数も上昇している。これが「はじめてのゴルフ」か。
球に照準を合わせる。打つぞ。


クラブを振りかぶり
力いっぱい
スイング!


「ヴオッ」と空気が鳴動した。案外手応え軽いんだなぁ・・・
「下下」
下?
見ると3秒程前に打った筈の球が。
首を傾げながら更に振る。しかし球は微動だにしない。何故だ。


「ちょっと」
Tが口を挟んできた。
「握り方が違う」
「え?」
Tはアイアンを手にした。
「どう握んの」


「お前右利きだよな」
「ああ」
「じゃあ俺の真似してみ」
そういうとTはまず左手でグリップの上側を握った。よく見ると人差し指が立っている。私も真似をして人差し指を立てた。
「で、右手の小指を」
小指をを左手の人差し指にからめてグリップを深く握った。私も真似をする。
・・・・・おお! これは・・・・・・・・・


「な?こうやって左手を包み込むようにするとしっかり握れるだろ?」
Tはクラブを素振りながら言った。
確かにフィット感がかなり増した。これなら打てるかもしれない。
素振った。
うん、いい感じ。
球を再びティーにセット。
よっしゃ、打つぞ。
スウィング!


・・・私の打った球は低い唸り声をあげながら、一瞬で遥か向こうに
「下下」
「え?」
何という事だ。
球はまだティーの上に乗っていた。
手強い。さすが「紳士のスポーツ」と呼ばれるだけはある。不動の球を見下ろしながらそう思った。
「アイアンの方が打ちやすいぞ」
そこでまたもやTのアドバイスである。
「え?そうなの?」
「うん」
そうなのか。
ウッドを手放すのはいささか躊躇われたが、先程のアドバイスの事もある。私はクラブを渋々アイアンに交換した。
素振ってみる。成る程、こちらの方が振りやすい。
「あと、打った後は上半身が前を向くように」
そういうと、Tはバッグからクラブを取り出し、隣りで素振り始めた。そう言えばTも初心者なのだ。にしてはよく知っている。予習でもしてきたのだろうか。
いいとして、まずは球に当てる練習だ。
2人はクラブを振り続けた。M氏はまだカメラを回している。
一番初めに球を飛ばしたのはやはりTだった。
「キンッ」と清々しい音を立ててTの打った球は右前方に飛んで行った。
「やった!」Tはこちらを見て嬉しそうに叫んだ。何だか悔しい。
しかし私の方もどうにかコツらしきものを掴みはじめていた。まず、力み過ぎない事。集中する事。そして、球をしっかり見据える事。今思えば、こんな簡単なことに気付くまでかなりの時間がかかったのが悔やまれる。
そして遂に、私も球を打つ事に成功した。
アイアンで打ったにも関わらず、球は低空を右前方に飛んで行った。実にしょぼい球筋である。
だが私には球筋などどうでもよかった。私の頭の中では「ナイッショッ!」「ナーイッショッ!」と観客が拍手喝采である。嗚呼、これがゴルフだ!!
それから私は3回に1回のペースで球を打てる様になった。やはり人間、慣れである。
しかし思った方向にはなかなか行かないものだ。Tが言うには、球に当たる時のクラブの位置が重要らしい。成る程。
M氏もカメラを回すのを止め、クラブを振り始めた。曰く、「球をカメラで追えない」そうだ。そりゃそうだ。



それから2時間程クラブを振り、我々3人は「○田屋ゴルフセンター」を後にした。
疲れた。腕が痛い。手も痛い。が、それなりに楽しくもあった。今度行く時は手袋を持参しよう。


結論:ゴルフは難しい。
まず球に当てるのが難しい。遠くに飛ばすのが難しい。方向を定めるのはもっと難しい。ましてやバックスピンなど神業である。おそるべし、「紳士のスポーツ」。マリオは凄いな。

ぎゅっと手をにぎって

http://q.hatena.ne.jp/1138019942
漫画・映画・書籍問わず名科白を紹介せよとの質問。
そこはもう終了したので勝手にここで上げてみます。
からくりサーカス」という漫画で、主人公・勝(マサル)に祖父・正二が死ぬ間際に託した科白。

…勝…男がな……
全部ハラにしまって…たった一人で歩かなきゃならん時はな…
ぎゅっと手をにぎって、それを見ろ。


それがこの世でたったひとつ…おまえと大事な人をを守る、力強い拳なのだ。

「男がな」という箇所に関しては異論を挟みたくなるけども、他は概ねグッときた。
[rakuten:book:11882699:detail]

ライディーン/YMO

http://www.rydeen79-07.com/index.html
ライディーンは幼稚園の運動会で聞いて以来頭から離れない楽曲なので聞かずにはいられない。
というかこのお爺さん達身長が同じなんですね。ものすごい怪しい写真で素敵すぎる。