迷宮百年の睡魔

echo792005-05-26

森博嗣さんの近未来小説「百年シリーズ」の2作目を前作に引き続きスズキユカさんがコミック化しました。というか連載していたらしく、最近単行本になってました。
森さん作品の中では一番最先端な未来が舞台の、ほぼSFで且つ哲学的で更にあやしい関係があやしいこのミステリを、スズキさんは相変わらず可愛くてどぎつくてキメ細やかなカッコよい絵で描いていらして大満足だ! と叫ぶのも辞さない覚悟です。特にスズキさんの描く女王メグツシュカはイメージにがっちりフィットしてしまいました。浅田寅ヲさんのよりも。因みに犀川先生は皇なつきさんでも浅田さんでもOK。
森さん作品についての話として、id:ityouさんの「地の文読み」「独白ファンタジー」「死せる被害者生ける探偵を……どうする?」に続く)というのがあって、読んだ当時「なろほど」と感動したもんだった。実際僕は森さん作品の危なっかしい哲学な地の文でサクサク描かれる心理描写の香りに噎せることができます。ほいでもってその地の文は狂おしいまでにストイック。超上品。「下品」の「ぺ」の字も見当たらない。それでいて鬱陶しくないのは、上品がサブセットでメインじゃないからだと思った。すなわち下心やあくどさはちゃんと作品にはあって、それを上手い具合に言葉を選んで書いてるところが「メタ上品」であるということ。
この危うげで上品な文章は堅くもなく軟くもなくすんなり読めていつも嬉しい限りです。でもって読後に「うわー騙されたー」とか「ずしーん」とかなる事があるので更に嬉しい。
「ミステリとして」「SFとして」という枕詞の価値を落とすに至った作家さんです。
小説って面白いですね(綺麗に纏めてみました)。